売却の基本 公開: 2026.08.24
その不動産会社選び、たぶん間違っています——査定額だけで選ぶと起きること
査定額が一番高い会社に頼む。それが不動産売却で最も多い失敗です。市原市の実例で「値下げ地獄」の構造を解説し、築年数だけで決まらない建物の本当の価値、そして会社選びで確認すべき3つの基準を示します。
動画でも解説しています: 【市原市】不動産を売ろうとしている方へ|その不動産会社選び、たぶん間違っています
市原市で不動産を売ろうとしている方に、ひとつだけ言わせてください。
「高く売れます」「早く売れます」「ストレスなく売れます」——この言葉を一番最初に言う不動産会社は、正直かなり危ないです。
今すぐ売る予定のない方も、いつかその日が来たときのために、この記事の内容だけは覚えておいてください。
最も多い失敗は「査定額だけで会社を選ぶこと」
不動産売却で一番多い失敗は、査定額の高さだけで不動産会社を選ぶことです。
具体的に考えてみましょう。ご自宅の売却を検討し、3社に査定を依頼したとします。
- A社: 2,800万円
- B社: 2,400万円
- C社: 2,000万円
どこに依頼しますか。ほとんどの方がA社を選びます。当然の心理です。しかし、これが大きな間違いの入口になります。
査定額は「売れる価格」ではありません
大前提として、**不動産の査定額は、売れて初めて金額が決まります。**売れなければ、その価格にはなりません。
A社に依頼した数か月後、こう言われます。
「申し訳ありません、2,800万円では売れそうにありません。400万円お値下げしませんか」
納得できないのが普通です。2,800万円で売れると言われたから依頼したのですから。しかし会社側の説明はこうです。
「2,800万円で”売れる”ではなく、2,800万円から”売り出しましょう”とお伝えしました」
そして、値下げは一度では終わりません
2,400万円に下げて、さらに数か月後。
「近隣で似た物件がもっと安く出ていまして、比べられると2,400万円では厳しそうです。2,000万円にしませんか」
ここでようやく気づきます。最初からC社が提示していた2,000万円と同じではないか、と。
しかも問題はそれだけではありません。**売り出しから何か月も経ち、何度も値下げした物件は、買い手から「売れ残り」に見えます。**結果として、C社の2,000万円よりさらに安くなってしまうことすらあります。
なぜ、そんなことが起きるのか
理由はシンプルです。
不動産会社にとって一番大きなビジネスチャンスは、売ることよりも先に「預かること」だからです。
媒介契約さえ結んでしまえば、あとは値下げをお願いすればいい——そう考える会社が実際に存在します。査定額が高いほど依頼したくなる、という心理を利用した手法です。
同じ市原市でも、内房線の駅からの距離、道路付け、建物の状態によって売れる価格は全く違います。ちはら台や国分寺台のような計画的な住宅地と、小湊鐵道沿線の郊外では、売れ方そのものが違うのです。
築年数だけで、建物の価値は決まらない
もうひとつ、知っておいていただきたいことがあります。
築30年経っていても価値のある建物はたくさんあります。逆に築20年でも、正直、価値がほとんど残っていない建物もあります。
人間でも、同じ50歳でも人によって全く違います。家も同じで、建てられたときの強度も違えば、その後のメンテナンスの頻度も違う。外から見てとても綺麗でも、見えない床下でシロアリが進んでいるケースもあります。
価格を左右するのは「見えないところ」
床下、屋根、雨漏りの跡——普段見えないところこそが、価格を左右します。
私たちは25年間、300件以上の売却と、その何倍もの数の建物をこの市原市で見てきました。それでも見た目だけでは分からない部分があるため、必要に応じて既存住宅状況調査(インスペクション)——建物の専門家による診断を入れ、床下や屋根裏の状態まで確認したうえで売却戦略を立てます。
築年数は経っているけれど、まだまだ丈夫な家。その反対に、築年数は浅いけれど、すぐに手を入れないといけない家。それを見抜けないまま売却すると、本来は守れたはずの価値を、自分で捨ててしまうことになります。
不動産売却は、一度売ったらやり直しがききません。
なぜ、ここまで説明する会社が少ないのか
理由は非常にシンプルで、難しいからです。
建物をきちんと評価するには、もともとの構造、施工の状態、時間とともに劣化している箇所、その後の修繕履歴まで見なければ、今の価値は分かりません。
それをやらずに「この辺りの相場はこのくらいですよ」という単純な指標だけで決めている会社が少なくありません。つまり**「売れるかどうか」ではなく「今いくらなら媒介の話がまとまりそうか」**という大雑把な基準です。
それは、売主自身のリスクになります
売った後に「そんな話は聞いていない」「修繕が必要だなんて知らなかった」と買主から言われるトラブルは、実際に多くあります。
売主には契約不適合責任といって、売った後も一定期間、建物の不具合について責任を問われる仕組みがあります。売る前に建物の状態を正しく把握しておくことは、売主自身を守ることでもあるのです。
「一人で判断しなければならない」方が増えています
配偶者が亡くなった。子どもは東京や千葉市にいる。近くで相談できる人がいない。
市原市では特に、東京在住のお子さんが実家を相続するケースが本当に多いのが実情です。そういう状態で、不動産会社の言うことをそのまま信じてしまう。
だからこそ、最初に会う相手が非常に重要になります。営業マンなのか、それとも建物と地域を診断できる専門家なのか。
失敗しないための3つの基準
会社を選ぶとき、確認していただきたいのは次の3つだけです。
- なぜこの価格なのか、根拠をきちんと説明できる会社か
- 建物の状況について具体的に話ができる会社か
- 売却以外の選択肢も提示してくれる会社か
この3つが揃っていれば、大きく間違えることはありません。
3つ目が、いちばん見落とされます
実は、売らなくていいのに「売るしかない」と誤解している方が意外といます。
たとえば住宅ローンでボーナス払いを選んでいた方。ボーナスが減って払えない、もう家を売るしかない——。しかし金融機関に相談すれば、支払い条件を変更してローンを払い続けられるように変えられることもあります。
売りたいわけではないのに、「売らなきゃ」という誤解のまま進んで大きな損失を被る。これは避けられる失敗です。ほかにも、賃貸に出す、リフォームして住み続けるなど、道はいろいろあります。そのうえで売却が最善なら、全力でサポートします。
焦っているときほど、判断を間違えます
最後にお伝えしたいことがあります。
不動産売却は「今すぐ売らなきゃいけない」と思っているときほど、判断を間違えやすいのです。
売ると決める前に、一度整理する。「売るための相談」ではなく、売ったほうがいいのか、売らないほうがいいのか、どうしたらより良くなるのか——それを判断するための時間を取ってください。
まとめ
- **査定額の高さだけで会社を選ばない。**査定額は「売れる価格」ではない
- 何度も値下げした物件は「売れ残り」に見え、結果的にもっと安くなる
- **築年数だけで建物の価値は決まらない。**見えない部分こそが価格を左右する
- 会社選びは①価格の根拠 ②建物の話 ③売却以外の選択肢の3点で確認する
高く売れるかどうか、後悔しないかどうか。そこを一緒に考えるところから始めましょう。
執筆: オリジナルメーカー(株式会社オリジナルメーカー)/ 千葉県知事免許(4)第15907号・千葉県宅地建物取引業協会会員。 記事の内容は公開時点の情報です。税制・法令の適用は個別の状況により異なるため、実行前に専門家へご確認ください。